建売住宅に太陽光・内窓・太陽熱を後付けしたらZEHになる?|我が家のBELS原本で検証

この記事は約11分で読めます。

我が家は2023年に、東栄住宅の建売住宅「ブルーミングガーデン」を購入しました。

その後、太陽熱温水器、内窓9か所、太陽光発電4.38kWを後付けしています。

「これだけ設備を追加したら、今の我が家はZEHになるのだろうか?」

購入時のBELS評価書に記載されたUA値0.56・BEI0.74を出発点に、3つの改修が住宅の性能にどう関わるのか、一次エネルギー削減率を推計してみました。

結論|購入時からZEH水準。改修後は参考試算で100%超

我が家の断熱・省エネ性能は、購入時からZEH水準に相当していました。太陽光と太陽熱を加えた比較試算では、再エネ込みの一次エネルギー削減率は約120%になりました。

内窓の数値上の効果は未計上です。また、この削減率は購入時BELSと設備別の参考計算を組み合わせたもので、改修後の住宅全体を再評価した正式なZEH判定ではありません。

購入時のBELSを、ZEHの基準と比べてみる

ZEHは、断熱・省エネで消費エネルギーを減らし、太陽光発電などを組み合わせて、年間の一次エネルギー収支を実質ゼロ以下にすることを目指す住宅です。

BELS原本(2022年7月7日交付)で、地域区分6、延床面積104.12㎡、UA値0.56、BEI0.74を確認しました。木造2階建ての住宅です。

購入時のBELS評価書を基にした性能説明図。UA値0.56、BEI0.74、基準一次エネルギー550・設計405MJ/㎡・年(その他除く)。
購入時BELS評価書を基にした説明用画像。AIで整形し、主要数値を原本と照合しています。
項目購入時の我が家従来のZEHの主な基準
断熱性能UA値0.566地域はUA値0.60以下
省エネ性能26%削減と表示(BEI 0.74)太陽光発電などを除いて20%以上削減

この断熱・省エネ性能に着目した区分が「ZEH水準住宅」です。『ZEH』では、さらに創エネも含めた一次エネルギー削減率100%以上を確認します。

太陽光を付ける前から、我が家にはZEHを目指す土台があった、ということですね。

※表は2026年度の主な基準です。外皮性能には冷房期の日射熱取得率などの条件もあります。参考:SII・ZEHの定義と基準(8ページ)

試算条件・計算過程|BELS表示値から約26.4%と計算

元データ

購入時BELS評価書の表示値を使用しました。いずれも「その他の一次エネルギー消費量」を除く数値です。

  • 地域区分:6地域
  • 延床面積:104.12㎡
  • 基準一次エネルギー消費量:550MJ/㎡・年
  • 設計一次エネルギー消費量:405MJ/㎡・年
  • BEI:0.74(評価書の削減率表示は26%)

計算式

削減率
=(550 − 405)÷ 550 × 100
=26.3636…%
=約26.4%

405 ÷ 550 = 0.73636…なので、BEI表示0.74とも整合します。

年・住宅全体のエネルギー量に直すと、基準は550 × 104.12 = 57,266MJ、設計は405 × 104.12 = 42,168.6MJです。

表示値からの計算のため、元の計算内部の端数処理とは差が出る場合があります。後付け設備の効果は含めていません。途中で丸めず、最後に小数第2位を四捨五入しました。

出典:購入時BELS評価書(2022年7月7日交付)の原本写真。資料確認・計算日:2026年10月18日。

後付けした太陽光・内窓・太陽熱を、どう評価したか

3つの設備は、それぞれ違う働きで家の省エネに関わります。

設備・設置時期主な役割今回の扱い
太陽熱200L
2024年5月
給湯エネルギーを減らす削減量を推計
内窓9か所
2026年5月
窓の断熱性能を高める数値への反映は保留
太陽光4.38kW
2026年6月7日
電気をつくる発電量を推計

太陽光4.38kW|年間の発電分を収支に反映

我が家の太陽光は長州産業製です。メーカーの「年間推定発電量」の原本資料で、年間予測は6,424kWhと確認できました。

長州産業の発電予測資料を基にした月別発電量の説明図。年間予測発電量は6,424kWh。
長州産業の発電予測資料を基にした説明用画像。AIで整形し、表示値を原本と照合しています。

今回の一次エネルギー比較では、この予測とは別に、国の省エネ計算法に基づく公開プログラム「pyhees」で参考発電量を求めました。

設置資料の方位角5°・勾配27°を国の計算上の丸め条件に従って入力した参考発電量は、年間約5,073kWh。購入時BELSと組み合わせると、太陽光だけでも再エネ込みの削減率は約113%という参考結果になります。

ZEHの収支では、自家消費分に加えて余剰売電分も評価対象になります。

試算条件・計算過程|太陽光の年間発電量と一次エネルギー換算

使用したプログラムと入力

  • 公開計算コード:pyhees Ver.3.10.0
  • 使用コミット:d5224c4a01def00a8421bcd2fcc0d4b4a5b88644
  • 地域区分:6地域、年間日射地域区分:A4
  • 太陽電池容量:4.38kW
  • 太陽電池の種類:結晶シリコン系、設置方式:屋根置き型
  • メーカー資料の設置条件:方位角5°、勾配27°
  • 計算用の角度:方位0°、勾配30°(国の技術資料の丸め条件による)
  • パワーコンディショナ定格負荷効率:96.5%(見積型番SSITL44B6CSのメーカー仕様値を採用)

容量・パワコン型番は設置見積書と年間推定発電量の原本、効率はメーカー仕様表(JIS C 8961)を基にしています。実機銘板との照合は行っていません。今回は調査研究用の公開コードを実行しており、Web版Ver.3.11の公式出力票は取得していません。

角度は、建築研究所・第11章第2節Ver.06(3ページ)に従い、方位角5°を0°、傾斜角27°を30°として計算しました。

計算結果

年間発電量:5,072.8169…kWh

一次エネルギー換算
=5,072.8169… × 9.76
=49,510.6934…MJ/年
=約49.51GJ/年

換算係数9.76MJ/kWhは、使用したコードの値です。1GJ=1,000MJ。途中は丸めず、表示時に四捨五入しています。

太陽光のみを反映した参考削減率

(57.266 − 42.1686 + 49.5106934…)÷ 57.266 × 100
=112.8210…%
=約112.8%(本文では約113%)

参考:メーカー資料の6,424kWhを単純換算した場合

発電量の換算=6,424 × 9.76 = 62,698.24MJ/年

購入時BELSと組み合わせた削減率
=(57,266 − 42,168.6 + 62,698.24)÷ 57,266 × 100
=135.8496…%
=約135.8%(小数第2位を四捨五入)

これはメーカー予測を使った別の参考計算です。本文の合算には、公開コードで求めた5,072.8169…kWhを用いています。

メーカー資料は前橋市の2010~2018年・9年間の日射データを使用しています。一方、今回の公開コードでは6地域・A4に対応する代表日射データ(480.csv、見出し「Ⅳb四日市」)を使用します。気象データや算定条件が異なるため、6,424kWhと約5,073kWhの差だけで予測の正誤は判断できません。

原本の月別表示値を合計すると6,422kWhで、年間表示6,424kWhとは2kWhの差があります。原因は資料だけでは確定できないため、年間の参考計算には原本の年間表示値を採用しています。

出典:pyhees公開コード・算定方法の説明、SII・ZEHの定義と余剰売電の扱い(8ページ)。私有資料は設置見積書(2026年4月12日)と長州産業「年間推定発電量」の原本写真を確認しました。効率の出典は長州産業Nシリーズカタログ・パワコン仕様表です。

確認・計算日:2026年10月18日。

設置費用や施工の様子は、こちらの記事にまとめています。

太陽光発電建売住宅に太陽光を後付けしてみた|4.38kW・162万円で設置したリアルな記録
建売住宅に太陽光発電を後付けした実体験を紹介。4.38kW・162万円で設置し、施工までの経緯や実際の発電量、自家消費率、電気代の変化、売電開始前の状況、初期費用の回収見込みまでリアルな数字でまとめました。

内窓9か所|断熱性能を改善し、暮らしの変化を記録

既存窓の内側に、LIXILのインプラスやYKK APのウチリモを追加しました。設置後は、西日の熱さや電車の音がやわらいだと感じています。

ただ、住宅全体の計算に必要な窓ごとの性能・開口寸法や外皮面積をそろえ切れていないため、改修後のUA値と暖冷房エネルギーの削減量は未確定です。

エアコンの使用電力量は、別の記事で気象条件と合わせて検証しています。

断熱・省エネ内窓+玄関間仕切りでエアコンの電気代は変わった?|夏3か月の電気使用量を実測
築3年の建売住宅に内窓を9か所設置し、玄関には間仕切りも追加。2025年と2026年の夏3か月のエアコン消費電力量を実測し、気温差を考慮した簡易補正も行いました。西日の暑さや防音、室温など、実際の暮らしで感じた変化を紹介します。

太陽熱200L|給湯エネルギーを年間約4.9GJ減らす試算

太陽熱温水器は、M・M・Cの「わくわくそーら200-ST」です。太陽の熱でお湯を温め、ガス給湯器の負担を減らします。

計算では、同じ給湯条件で太陽熱の「なし/あり」を比較しました。集熱面積を3.06㎡と仮定し、計算用の規定性能値を使ったところ、給湯の一次エネルギー削減量は年間約4.9GJになりました。

3.06㎡は、同じメーカーの業務用20本型の面積を24本へ比例させた概算です。機器の正式な集熱面積として確認された値ではありません。

また、この約4.9GJには、SKBや凍結防止ヒーターなどの追加消費電力を含めていません。

試算条件・計算過程|太陽熱の約4.90GJ/年と集熱面積の感度

設備条件と仮定

  • 住宅:104.12㎡、6地域、年間日射地域区分A4
  • 太陽熱温水器:200L、南向き・傾斜60°
  • 給湯器:ノーリツGT-C2062(S)AWX系、追いだきあり
  • 接続機器:ノーリツSKB-300
  • 集熱部総面積:3.06㎡と仮定
  • 機器区分:密閉形太陽熱温水器(直圧式)と仮定
  • 接続方式:給湯器との通信接続を前提に、接続ユニット方式と仮定
  • 給湯効率:メーカーの系列性能表を参考に92.5%と仮定
  • 節湯水栓・浴槽断熱:基本ケースでは無しと仮定
  • 使用コード:PVと同じpyhees Ver.3.10.0

集熱面積3.06㎡の根拠

メーカーの業務用20本型に掲載された集熱面積2.55㎡から、2.55 × 24 ÷ 20 = 3.06㎡と推計しました。

別製品からの比例計算であり、200-STの正式なJIS集熱部総面積は確定していません。業務用ページの2.55㎡も、JIS集熱部総面積とは明記されていないため、今回は概算の入力値として使っています。

機器区分・接続方式も、公開資料を基に置いた条件です。実機の当時仕様、SKBの通信配線・設定や配管経路を現場確認した結果ではありません。

仮想居住人数

住宅性能の計算では、床面積から求める仮想居住人数を使用します。

104.12 ÷ 30 = 3.470666…人

実際の2人暮らしの年間使用量を予測した計算とは異なります。

計算用の規定性能値

  • 集熱効率係数:0.73
  • 集熱損失係数:7.65W/(㎡K)
  • 循環流量係数:0.164(kg/h)/(W/㎡)
  • 熱交換器伝熱係数:220W/K
  • 有効出湯効率:75%
  • タンク放熱係数:5.81W/K

これらは対象区分の計算用規定値であり、200-STの実測性能ではありません。

年間の計算結果

項目太陽熱なし太陽熱あり
給湯ガス消費量19,794.9973MJ14,894.6775MJ
給湯電力消費量55.6378kWh55.6378kWh

一次エネルギー削減量
=(19,794.9973 − 14,894.6775)+ 電力差0 × 9.76
=4,900.3198MJ/年
=約4.90GJ/年

上の出力値は表示用に丸めています。集計は丸め前の値で行い、GJ表示は小数第3位を四捨五入しました。

集熱面積を変えた感度確認

仮定した面積年間一次エネルギー削減量
2.00㎡約3.88GJ
3.06㎡約4.90GJ
4.00㎡約5.54GJ

面積だけを変えた計算例です。2~4㎡を実機の面積の上下限としたものでも、実際の削減量の予測範囲としたものでもありません。

比較差に含めていない消費電力

SKB-300や凍結防止ヒーターなどの追加消費電力を、今回の比較差に織り込んでいません。例えばSKBを掲載消費電力5Wで24時間365日連続通電すると仮定すれば、5 ÷ 1,000 × 24 × 365 = 43.8kWh/年、一次エネルギーでは43.8 × 9.76 ÷ 1,000 = 約0.43GJ/年です。これは連続5Wという別仮定で、実測値ではありません。

出典

設置条件・接続機器は我が家の設備資料・確認情報によります。資料確認・計算日:2026年10月18日。

設置前後のガス使用量と費用回収は、別の記事で検証しています。

断熱・省エネ真空管式太陽熱温水器は何年で元が取れる?|設置前後のガス使用量から59万円の回収期間を検証
太陽熱温水器を設置したら、ガス使用量はどれくらい減ったのか?前回の記事では、我が家で実際に使っている真空管式太陽熱温水器について、設置費用や使い勝手、冬と夏の違いなどを紹介しました。今回の計算の前提となっている太陽熱温水器そのものについて、…

参考試算の100%超は、電気代ゼロを意味する?

冒頭の削減率は、購入時BELSの設計値から太陽熱の給湯削減分を差し引き、太陽光の発電分も反映して求めたものです。電気とガスを、共通の一次エネルギーにそろえて比較しています。

ZEHが評価するのは、暖冷房・換気・給湯・照明の年間の設計上の収支です。家電などの消費や、発電しない時間帯の買電もあるため、光熱費ゼロや24時間の自給自足とは別の話になります。

試算条件・計算過程|購入時BELSと設備別計算を組み合わせた約121.4%

使用した年間一次エネルギー量

  • 基準:550 × 104.12 ÷ 1,000 = 57.266GJ
  • 購入時の設計値:405 × 104.12 ÷ 1,000 = 42.1686GJ
  • 太陽光:5,072.8169… × 9.76 ÷ 1,000 = 49.5106934…GJ
  • 太陽熱の給湯削減差:4.9003198…GJ

計算式

削減率
={基準 −(購入時設計 − 太陽熱の削減分)+ 太陽光の換算分}÷ 基準 × 100

=(57.266 − 42.1686 + 4.9003198… + 49.5106934…)÷ 57.266 × 100
=121.3781…%
=約121.4%

途中で丸めず、最後に小数第2位を四捨五入しました。本文では、未確定の入力条件があることを踏まえ、約120%の概算として示しています。

数値の位置づけ

購入時BELSの表示値と、別途実行した設備別の参考計算を組み合わせています。元BELSと給湯条件・計算法の版などを完全にそろえた住宅全体の再計算ではありません。

含めたもの:購入時の設計値、PV参考発電量、仮定した太陽熱設備による給湯削減差。

含めていないもの:内窓による暖冷房の変化、SKB等の追加消費電力、改修後の全設備を統一条件で再計算した場合の変化。

太陽熱は給湯削減差として1回だけ計上し、同じ集熱量を創エネとして重ねて加えていません。

出典・入力条件は、上のBELS・太陽光・太陽熱の折りたたみと同じです。計算・整理日:2026年10月18日。

購入時のZEH水準に、3つの設備を積み重ねた我が家

我が家の出発点は、購入時からのZEH水準に相当する断熱・省エネ性能でした。そこに、暮らして気になったところを改善するため、3つの設備を少しずつ追加してきました。

太陽光は電気をつくり、太陽熱は給湯の負担を減らす。内窓は窓の断熱と暮らしの快適さを改善する。それぞれの役割を整理すると、住みながら家の性能を高めてきたことが分かります。

内窓の省エネ効果は数値に含めていませんが、太陽光と太陽熱を反映した参考試算では、年間の一次エネルギー収支がゼロを下回る結果になりました。改修後の正式なZEH判定は、まだ取得していません。

自宅でも確かめたい方は、まずBELS評価書や住宅性能評価書のUA値・BEIを確認し、後付けした窓や設備の仕様書と一緒に保管しておくと役立ちます。

我が家も、これからの電気・ガス使用量や発電量の記録を、今回の計算と比べていきたいと思います。

購入から現在までの設備追加や点検の記録はこちらにまとめています。

🏡 我が家の住宅履歴|住宅の購入から現在までの記録
2023年に購入した建売住宅で、実際に行った点検・修繕・DIY・設備追加・断熱対策・太陽光発電などの履歴を記録。電気・ガス・水道の使用量や費用、実際の効果も含め、この家で何をして、どう変わったのかを継続して紹介します。

資料・制度確認日:2026年10月18日。今回は2026年度の従来の『ZEH』と比較しています。2027年4月適用のGX ZEHは別定義です。

主な公的資料:SII・2026年度ZEH公募要領、建築研究所・住宅の省エネルギー基準と評価方法に関する技術情報。設備別の出典と仮定条件は、各項目の折りたたみ内に記載しています。

タイトルとURLをコピーしました