太陽熱温水器を設置したら、ガス使用量はどれくらい減ったのか?
前回の記事では、我が家で実際に使っている真空管式太陽熱温水器について、設置費用や使い勝手、冬と夏の違いなどを紹介しました。
今回はその続編。
テーマは、
「59万円かけて設置した太陽熱温水器は、実際に何年で元が取れるのか?」
です。
太陽熱温水器は、太陽の熱を利用してお湯を温めることで、給湯に使うガスを減らす設備です。
では、実際の我が家ではどうだったのか。
今回はガス料金ではなく、実際のガス使用量(m³)を使って、設置前と設置後を比較してみます。
さらに、
- ガス料金がもっと高かったら?
- LPガスだったら?
- 将来ガス料金が上がったら?
という条件でも回収期間をシミュレーションしてみます。
あくまで我が家の実測値をもとにした試算ですが、太陽熱温水器を検討している方の参考になればと思います。
我が家の太陽熱温水器
我が家で使用しているのは、M.M.Cの真空管式太陽熱温水器、
「わくわくそーら200-ST」
です。
主な仕様は、
- 容量:200L
- 真空管:24本
- ヒートパイプ式
- 水道直結式
- ステンレスタンク
- 地上設置
となっています。
200Lのタンクなので、屋根に載せるのではなく地上に設置しました。
設置費用は、機器代・工事費を含めて、
約59万円
でした。
設置条件は「ものすごく恵まれている」わけではない
設置したのは2024年5月。
南向きに設置し、傾斜は約60度です。
朝から太陽が当たり、15~16時頃までは比較的日が当たります。
ただし、西側には住宅があるため、午後遅くなると影響を受けます。
つまり、
一日中ずっと日当たり抜群という条件ではありません。
この点も、今回の実測データを見るうえでは一つの条件になります。
太陽熱で温めたお湯はどう使っている?
太陽熱温水器で温めたお湯は、キッチンなどの給湯に利用しています。
食洗機にも利用しています。
我が家ではノーリツの「スカイブレンダー」を組み合わせています。
太陽熱で温められたお湯を給湯器側で適切な温度に調整し、太陽熱だけでは足りない場合にはガス給湯器が自動的に補います。
そのため、
「今日は太陽が出なかったからお湯がない」
ということは、今のところありません。
実際に使っていて、この点はかなり便利です。
まずは設置前と設置後のガス使用量を比較
ここからが本題です。
今回は、太陽熱温水器を設置した2024年5月をまたぐ請求期間を避け、同じ季節を比較します。
比較期間は、
- 設置前:2023年9月~2024年4月
- 設置後1年目:2024年9月~2025年4月
- 設置後2年目:2025年9月~2026年4月
の3期間です。
元データには2023年9月から2026年8月までの月別ガス使用量が記録されています。
月別ガス使用量
| 月 | 設置前 | 設置後1年目 | 設置後2年目 |
|---|---|---|---|
| 9月 | 13m³ | 7m³ | 5m³ |
| 10月 | 13m³ | 5m³ | 7m³ |
| 11月 | 23m³ | 16m³ | 17m³ |
| 12月 | 31m³ | 18m³ | 20m³ |
| 1月 | 38m³ | 31m³ | 31m³ |
| 2月 | 34m³ | 25m³ | 26m³ |
| 3月 | 38m³ | 21m³ | 26m³ |
| 4月 | 35m³ | 22m³ | 26m³ |
| 合計 | 225m³ | 145m³ | 158m³ |
東京ガスの使用量実績でも、2024年9月~2026年8月の各月の使用量を確認できます。
3年間をインタラクティブグラフで見る
数字だけでは分かりにくいので、3年間をグラフにしてみます。
太陽熱温水器導入前後のガス使用量
太陽熱温水器導入前後のガス使用量
季節ごとのガス使用量を比較(単位:m³)
導入前:225m³
導入後1年目:145m³ (約35.6%減)
導入後2年目:158m³ (約29.8%減)
※ガス使用量は東京ガスの使用量実績・記録をもとにしています。 5〜8月は太陽熱温水器導入後のデータを表示しています。 「導入前」は比較可能な9〜4月のみ表示しています。
こうして見ると、設置後1年目だけでなく、2年目も全体として低い水準にあることが分かります。
ただし、2年目は1年目より少し増えています。
このあたりも「太陽熱温水器を付ければ毎年同じだけ減る」と単純化せず、天候や使用状況によって変動するものとして見たほうがよさそうです。
8か月間で80m³減った
まず、設置前と設置後1年目を比較します。
225m³ → 145m³
なので、
80m³減少
しています。
削減率は、
約35.6%
です。
これはなかなか大きな変化でした。
一方、設置後2年目は158m³。
設置前の225m³と比べると、
67m³減少
しています。
削減率では、
約29.8%
です。
つまり、1年目ほどではありませんが、2年目も設置前よりガス使用量は少ないという結果になりました。
では、59万円は何年で回収できる?
ここからは経済性です。
設置前と設置後1年目の差、
80m³/8か月
を単純に年間換算すると、
120m³/年
になります。
これに、我が家で確認していた過去のガス単価、
158.04円/m³
を当てはめます。
120m³ × 158.04円
=
約18,965円/年
です。
設置費用は約59万円なので、
590,000円 ÷ 18,965円
=
約31年
となります。
正直、約31年です
ちなみに、これは設置後に私が勝手に気づいた話ではありません。
工事をお願いした業者さんからも、契約前に「都市ガスの場合、経済的なメリットは感じにくい」という説明を受けていました。
それでも、私は導入することにしました。
理由は、単純に「元を取りたい」だけではなかったからです。
太陽の熱を直接使って、お湯を作る。
その仕組みを実際に自宅で使ってみたかったんです。
なので、今回の約31年という結果を見ても、「説明と違った」「失敗した」とは思っていません。
むしろ、事前に経済性について説明してもらったうえで、それでも導入したからこそ、実際に使ってみた結果を冷静に振り返ることができます。
では、実際に我が家では何年で元が取れるのでしょうか。
結論から言うと、単純計算では約31年でした。
ただし、この数字は「太陽熱温水器なら一般的に31年かかる」という意味ではありません。
あくまで、我が家の条件で、実際のガス使用量から計算した結果です。
我が家の条件は、次のようになっています。
- 都市ガス
- 設置費用:約59万円
- 地上設置
- 太陽熱温水器とガス給湯器の距離:約15m
- 午後は西側住宅の影響を受ける
- ガス給湯器との併用
特に、太陽熱温水器とガス給湯器の距離が約15mあるため、配管距離は短いとは言えません。
また、我が家では午後になると西側の住宅の影響で、太陽熱温水器が日陰になる時間帯があります。
こうした条件も含めて、実際のガス使用量を見ていきます。
実際にどれくらいガスが減った?
設置前と設置後を、同じ9月~翌4月の8か月間で比較しました。
- 導入前:225m³
- 導入後1年目:145m³
- 導入後2年目:158m³
導入前と比べると、
- 1年目:80m³減(約35.6%減)
- 2年目:67m³減(約29.8%減)
となりました。
1年目の削減量80m³を単純に年間換算すると、年間約120m³。
当時のガス単価158円/m³で計算すると、年間の削減額は約1.9万円です。
そのため、
59万円 ÷ 約1.9万円 ≒ 約31年
となります。
では、設備は31年使えるのか?
ここで、もう一つ気になることがあります。
そもそも、この計算上の31年間、太陽熱温水器を使い続けられるのでしょうか。
今回使っているM.M.Cの「わくわくそーらー」について、メーカー公式サイトでは、耐用年数を10~20年と案内しています。
もちろん、これは「20年経ったら必ず使えなくなる」という意味ではありません。
設置環境や使用状況、メンテナンスなどによって、実際に使用できる期間は変わるはずです。
それでも、
我が家の単純計算による回収期間:約31年
に対して、
メーカーが案内する耐用年数:10~20年
です。
つまり、
「59万円をガス代の削減だけで回収する」という考え方では、設備の耐用年数より回収期間の方が長くなる可能性があります。
これは、実際にガス使用量を記録してみて、かなり印象に残ったポイントでした。
「太陽熱温水器なら、すぐ元が取れる」とは言えませんでした
実際に使い始める前は、
「太陽の熱はタダなんだから、長く使えば元が取れるだろう」
くらいに考えていました。
ところが、実際のガス使用量を記録して計算してみると、我が家では約31年。
メーカーが案内する耐用年数も考えると、経済性だけを目的に導入するには、かなり長期の投資という結果になりました。
ただし、これはあくまで我が家の条件での結果です。
ガス単価が高い、給湯使用量が多い、日当たりが良い、給湯器までの配管距離が短い、設置費用を抑えられる――。
そうした条件が違えば、回収期間も変わってきます。
だから太陽熱温水器を検討するなら、
「何年で元が取れるか」だけを見るのではなく、
「自分の家の条件なら、年間どれくらいガスを減らせるのか」
を考えることが大切だと思います。
そして我が家の場合、経済性とは別に、
太陽の熱を直接使って、お湯を作る。
この仕組みそのものを楽しめたことも、実際に使ってみて分かった価値でした。
参考
→ M.M.C公式|太陽熱温水器「わくわくそーらー」
M.M.C公式サイト
ガス料金が高かったら、回収期間はどう変わる?
では、年間120m³削減という条件を固定して、ガス単価だけ変えてみます。
| ガス単価 | 年間削減額 | 回収期間 |
|---|---|---|
| 158円/m³ | 約1.9万円 | 約31年 |
| 200円/m³ | 約2.4万円 | 約25年 |
| 250円/m³ | 約3.0万円 | 約20年 |
| 300円/m³ | 約3.6万円 | 約16年 |
| 400円/m³ | 約4.8万円 | 約12年 |
こうしてみると、
ガス単価が高いほど回収期間は短くなる
ことが分かります。
ただし、これは将来のガス料金を予測したものではありません。
あくまで、
「もし1m³あたり○円だったら?」
という単純な感度分析です。
LPガスだったら、回収期間はもっと短くなる?
ここまでの計算は、我が家が都市ガスだからこその結果です。
では、もし我が家がLPガスだったら、回収期間はどう変わるのでしょうか。
ここで注意したいのが、都市ガスとLPガスでは、1m³あたりの熱量が大きく違うことです。
都市ガス13Aは1m³あたり約11,000kcalなのに対して、LPガスは約24,000kcal。
つまり、LPガスは同じ1m³でも、都市ガスの約2.2倍の熱量を持っています。
そのため、
「我が家では年間120m³の都市ガスを削減できたから、LPガスなら120m³削減できる」
と、そのまま置き換えることはできません。
熱量をそろえて考えてみる
我が家で年間約120m³の都市ガスを削減できたとすると、
120m³ × 11,000kcal ÷ 24,000kcal ≒ 約55m³
となります。
つまり、我が家で太陽熱温水器が削減した熱量は、LPガスに換算すると年間約55m³分に相当します。
では、LPガスなら何年で元が取れる?
ここからは、あくまで仮定のシミュレーションです。
LPガスは販売店によって料金が違うため、「LPガスなら○年で元が取れる」と一律には言えません。
そこで今回は、石油情報センターが公表している2026年7月の関東地区のLPガス料金を参考にしてみます。
関東の平均価格は、
- 5m³:5,607円
- 10m³:9,227円
- 20m³:16,217円
- 50m³:36,096円
となっています。いずれも基本料金を含む税込価格です。
この料金表から、従量部分をおおよそ1m³あたり700円前後と仮定します。
すると、年間約55m³のLPガスを太陽熱で削減できた場合、
55m³ × 約700円 ≒ 約3.9万円/年
の節約になる計算です。
設置費用59万円なので、
59万円 ÷ 約3.9万円 ≒ 約15年
となります。
つまり、かなり単純化した計算ではありますが、
我が家と同じくらいの熱量を太陽熱でまかなえたと仮定すると、LPガスなら回収期間は約15年というシミュレーションになります。
都市ガスの場合の約31年と比べると、かなり違います。
| 我が家・都市ガス | LPガス・仮定 | |
|---|---|---|
| 太陽熱による削減量 | 約120m³/年 | 約55m³/年 |
| ガス単価の考え方 | 約158円/m³ | 約700円/m³程度 |
| 年間削減額 | 約1.9万円 | 約3.9万円 |
| 設置費用 | 59万円 | 59万円 |
| 単純回収期間 | 約31年 | 約15年 |
ただし、これは「LPガスなら15年」という意味ではありません
ここはかなり重要です。
今回の約15年は、
我が家の実測したガス削減量をLPガスの熱量に換算し、さらに関東地区の平均的なLPガス料金を使った仮定のシミュレーション
です。
実際のLPガス料金は販売店によって違いますし、基本料金・従量料金の設定も異なります。石油情報センターの数字もあくまで地域の平均的な価格です。
また、LPガス家庭でも、
- 給湯使用量が多い
- 日当たりが良い
- 配管距離が短い
- 太陽熱温水器の設置費用が安い
といった条件なら、さらに回収期間が短くなる可能性があります。
逆に条件が悪ければ、15年より長くなるでしょう。
なので、この記事で伝えたいのは、
「LPガスなら約15年で元が取れる」
ではなく、
「同じ太陽熱の利用量でも、LPガスはガス料金が高いため、都市ガスの我が家より経済的メリットが大きくなりやすい」
ということです。
参考
→ 日本LPガス協会|LPガス業界の概要
都市ガス13AとLPガスの発熱量を比較する際の参考資料。
→ 石油情報センター|一般小売価格 LPガス
都道府県別のLPガス料金を確認できます。
→ 資源エネルギー庁|LPガス料金の標準的な料金メニュー等の公表
LPガス料金の透明化に関する公式資料。
回収期間を左右するのは「ガスの種類」だけではない
今回、実際に計算してみて感じたのは、
太陽熱温水器の経済性は、ガスの種類だけでは決まらない
ということです。
重要なのは、
ガス単価
高いほど、同じガス削減量でも金額的なメリットが大きくなります。
お湯の使用量
お湯をたくさん使う家庭ほど、太陽熱を利用できる余地があります。
日照条件
南向きで長時間日射が得られる住宅ほど有利です。
配管条件
太陽熱温水器から給湯器までの距離などによって、施工条件や工事費も変わります。
設置費用
これも非常に重要です。
同じ年間3万円の削減でも、設置費用が59万円なのか40万円なのかでは、回収期間が大きく違います。
こんな家なら検討する価値がありそう
今回の結果から、私なら、
- LPガスを使っている
- お湯をたくさん使う
- 日当たりが良い
- 給湯器までの距離が短い
- 設置費用を抑えられる
という条件がそろっている住宅なら、太陽熱温水器を検討する価値は比較的高いと思います。
特に、LPガスで給湯にかかる費用が大きい家庭では、我が家の都市ガスより経済性が良くなる可能性があります。
一方で、
「太陽熱温水器なら誰でも得をする」
とは考えないほうがいいでしょう。
自宅の条件に当てはめて計算することが大切です。
工事について
今回の設置工事は、ニューエコライフさんにお願いしました。
実は、工事をお願いしたニューエコライフさんからも、契約前に「都市ガスの場合は経済的なメリットを感じにくい」という説明を受けていました。
それでも私は、太陽の熱を直接使ってお湯を作る仕組みを、実際に自宅で使ってみたかった。
だから、経済性について説明を受けたうえで、それでも自分の意思で導入しました。太陽熱温水器は一般的な住宅設備とは少し違うため、設置前にはいろいろと相談させてもらいました。
こちらの希望もしっかり聞いていただき、工事もとても丁寧でした。
設置後も特に問題なく使用できており、
工事については大満足しています。
今回の記事では、設置費用59万円に対してガス使用量がどれくらい減ったのかを、あえて数字で検証しています。
これはあくまで我が家の使用条件における経済性の検証です。
工事そのものについては、満足できる施工をしていただいたと感じています。
ニューエコライフさんには、丁寧に対応・施工していただいたことに感謝しています。
それでも、太陽熱温水器は面白い
ここまで数字を出しておいて言うのも何ですが、私は太陽熱温水器を設置したこと自体を後悔していません。
もともと設置した理由の一つは、
「せっかく太陽が照っているんだから、その熱を使ってみたい」
という、かなり単純なものでした。
晴れた日にタンクの温度が上がっていく。
夏にはかなり熱くなる。
冬でも晴れれば40℃以上になることがある。
こういうのを実際に見ていると、
「太陽の熱って、ちゃんと使えるんだな」
と実感します。
もちろん経済性は大切です。
でも、
「太陽の熱を直接お湯にする」
という面白さも、この設備の魅力だと思っています。
そして今度は「オール電化」という別の興味が出てきた
実は、太陽熱温水器を設置した当時、太陽光発電まで導入する予定はありませんでした。
ところが、その後、我が家にも太陽光発電を導入しました。
そうなると今度は、
「せっかくならオール電化にしてみたい」
という別の興味が出てきます。
現在のガス給湯器が寿命を迎えたときには、
エコキュート+IH
にして、ガスの基本料金そのものをなくすという選択肢もあります。
そうなると、現在使っている太陽熱温水器をどう活かすかという問題も出てきます。
太陽熱をエコキュートで利用するための機器もありますが、我が家のM.M.C製品との具体的な適合については、まだ確認できていません。
このあたりは給湯器を交換するときに、改めて調べてみたいと思います。
まとめ|我が家では「約31年」という結果になった
今回、同じ9月~翌4月の8か月間で比較したところ、
設置前
225m³
設置後1年目
145m³
設置後2年目
158m³
でした。
設置前と比較すると、
1年目:80m³減少(約35.6%)
2年目:67m³減少(約29.8%)
となりました。
設置後2年目は1年目より増えましたが、設置前と比較すればガス使用量は少ない状態です。
そして、1年目の実績を単純に年間換算すると、
年間約120m³のガス削減
となります。
過去のガス単価158.04円/m³を当てはめた場合、
年間約1.9万円の削減。
設置費用59万円を回収するには、
約31年
という計算になりました。
正直、短いとは言えません。
ただし、ガス単価や使用量、日照条件、設置費用が変われば結果も大きく変わります。
例えば、今回の単純シミュレーションでは、
250円/m³なら約20年
300円/m³なら約16年
となりました。
また、LPガスなどで年間削減量が大きくなれば、10~15年程度という計算になるケースもあります。
だからこそ、太陽熱温水器については、
「何年で元が取れるか?」
だけではなく、
「自分の家では何m³くらいガスを減らせそうか?」
から考えてみるのがいいと思います。
我が家の場合は、
経済性だけを考えれば、かなり気長な投資。
でも、
太陽の熱を直接お湯に使うという面白さは、実際に使ってみて感じています。
太陽熱温水器を検討している方にとって、この記事の実測データが少しでも判断材料になれば幸いです。
参考資料・データについて
今回のガス使用量は、東京ガスの使用量実績および我が家で記録してきたデータをもとにしています。2024年9月~2026年8月については東京ガスの「ガス使用量実績」でも確認できます。
また、手元の集計データは2023年9月~2026年8月を対象とし、単位はm³です。料金ではなく使用量を中心に記録しています。
※回収期間は、実測値をもとにした単純試算です。将来のガス料金、日照条件、使用量などによって実際の結果は変わります。
※「LPガスなら○年で回収できる」という保証ではなく、記事中に記載した条件によるシミュレーション例です。
それでも、太陽熱温水器にももっと盛り上がってほしい
ここまで読んでいただいた方なら、我が家の太陽熱温水器について、ある程度イメージしてもらえたと思います。
59万円で設置して、実際のガス使用量から計算すると、都市ガスでは約31年。
正直に言えば、経済性だけを考えると、かなり厳しい結果でした。
では、ほかの設備と比べたらどうなのか。
せっかくなので、我が家で実際に検討・導入した太陽光発電とも、ざっくり比較してみます。
太陽熱温水器と太陽光発電を比べてみる
我が家の太陽熱温水器は、
- 設置費用:約59万円
- 都市ガス使用量の実測から見た回収期間:約31年
- LPガスを使っていた場合の単純試算:約15年
という結果でした。
一方、我が家の太陽光発電は、
- システム容量:4.38kW
- 設置費用:約162万円
- 想定年間発電量:6,424kWh
- 自家消費率:約60%
という条件です。
こちらも、同じように「何年で元が取れるのか」を考えてみます。
今回の太陽光発電の試算では、2026年度の住宅用太陽光の買取制度を前提にしました。
2026年度の制度では、住宅用太陽光の最初の4年間は24円/kWh、5~10年目は8.3円/kWhでの買取となります。
我が家の場合、年間発電量6,424kWhのうち60%を自家消費すると仮定すると、
6,424kWh × 60% = 約3,854kWh
が自家消費分。
残りの約2,570kWhが余剰電力になります。
自家消費分については、2026年の家庭用電気料金をもとにした「自家消費便益」の評価値として、27.45円/kWhを使います。
これは補助金ではなく、「太陽光で発電した電気を自宅で使うことで、購入する電気を減らせる価値」を金額に置き換えたものです。
すると、
3,854kWh × 27.45円 ≒ 10.6万円/年
となります。
さらに余剰電力については、
1~4年目は、
約2,570kWh × 24円 ≒ 6.2万円/年
5~10年目は、
約2,570kWh × 8.3円 ≒ 2.1万円/年
となります。
これを単純に積み上げると、10年間で得られる経済的なメリットは約143万円。
設置費用162万円との差は約19万円なので、11年目以降も自家消費分と余剰電力の売電を考慮すると、おおむね11~12年程度で回収できる計算になります。
もちろん、これはあくまで単純計算です。
太陽光パネルの経年劣化、パワーコンディショナーの交換、メンテナンス費用などは考慮していません。
それでも、我が家の条件で比べると、
59万円の太陽熱温水器:約31年
162万円の太陽光発電:約11~12年
という、かなり大きな違いが出ました。
では、「補助金もFITもない」としたら?
ここも気になったので計算してみました。
太陽光発電の余剰電力について、仮に売電による収入をゼロとします。
すると、評価できるのは自家消費した約3,854kWh分だけです。
先ほどと同じ27.45円/kWhで計算すると、
3,854kWh × 27.45円 ≒ 10.6万円/年
です。
162万円を10.6万円で割ると、
約15.3年
になります。
つまり、我が家の条件では、売電制度をまったく考えなくても、自家消費だけで考えれば約15年という計算になります。
もちろん、これも太陽光発電の劣化や機器交換などを含まない単純計算です。
それでも、
「太陽光発電は発電した電気を自宅で使える」
ということ自体に、かなり大きな経済的価値があることが分かります。
では、LPガスだったら?
太陽熱温水器についても、LPガスを使っている家庭なら結果が変わります。
都市ガスとLPガスでは、1m³あたりに含まれる熱量が違います。
今回の計算では、
- 都市ガス:約11,000kcal/m³
- LPガス:約24,000kcal/m³
として考えました。
都市ガスで年間120m³程度の削減効果があるとすると、
120m³ × 11,000 ÷ 24,000 ≒ 55m³
となり、LPガスでは年間約55m³相当の削減に置き換えられます。
ここで、2026年7月の関東地方のLPガス価格を参考にし、今回の試算ではLPガス1m³あたり700円として単純化してみます。
すると、
55m³ × 700円 = 約3.85万円/年
です。
59万円を年間約3.85万円の削減効果で割ると、
約15.3年
となります。
ただし、これはあくまで今回の条件による試算です。
LPガスは販売店や地域、契約条件によって料金差が大きいため、「LPガスなら15年で元が取れる」という意味ではありません。
実際には、自分の家のLPガス料金と使用量で計算する必要があります。
我が家の場合を並べてみると
| 設備・条件 | 初期費用 | 単純計算での回収期間 |
|---|---|---|
| 太陽熱温水器+都市ガス | 約59万円 | 約31年 |
| 太陽熱温水器+LPガス想定 | 約59万円 | 約15年 |
| 太陽光発電・2026年度制度を利用 | 約162万円 | 約11~12年 |
| 太陽光発電・売電を考慮しない | 約162万円 | 約15年 |
こうして並べてみると、我が家では太陽熱温水器よりも太陽光発電のほうが、経済性という意味では明らかに有利でした。
ただ、ここで少し複雑な気持ちになります。
太陽熱温水器は、もう少し応援されてもいい?
太陽光発電には、FIT制度や初期投資を支援する仕組みがあります。
一方、太陽熱温水器は、太陽の熱をそのままお湯に利用するという非常にシンプルな仕組みなのに、太陽光発電ほど一般的ではありません。
もちろん、太陽光発電と太陽熱温水器では、発電と給湯という用途そのものが違います。
単純に優劣をつけるものではありません。
それでも、実際に2年以上使ってみると、
「太陽の熱でお湯を作る」
という仕組みは、思っていた以上に面白いものでした。
晴れた冬の日に、屋外のタンクのお湯が40℃を超えている。
夏になると60~70℃近くまで上がる。
そのお湯を、キッチンや食器洗いで普通に使う。
考えてみれば、かなり原始的な仕組みです。
でも、そのシンプルさが面白い。
もちろん、雨の日にはほとんど役に立ちません。
冬の日照条件によっては十分な温度まで上がらないこともあります。
我が家のように都市ガスを使っている場合、経済性だけを考えると「絶対におすすめ」とは言えません。
それでも、
太陽の熱を、そのまま家庭のお湯に変える。
この仕組みには、太陽光発電とはまた違った魅力があります。
そして今度は、太陽光発電を導入したことで、私の中に別の興味も出てきました。
それが、オール電化です。
現在のガス給湯器がいつか寿命を迎えたとき、
「エコキュート+IHにして、ガスの基本料金そのものをなくしたらどうなるんだろう?」
という興味が出てきました。
そうなると、今使っている太陽熱温水器をどう活用するのかという、また別の問題も出てきます。
太陽熱温水器を選んだときには、まさかこんなところまで考えることになるとは思っていませんでした。
経済性だけでは測れない面白さ
今回の検証で分かったことは、かなりはっきりしています。
我が家の条件では、太陽熱温水器の回収期間は約31年。
経済性だけを見れば、決して優秀とは言えません。
それでも、私はこの設備を付けたことを後悔していません。
実際に太陽の熱でお湯が作られ、それを毎日の生活で使っている。
その仕組みを自分の家で眺めながら、
「今日はどれくらい温まったかな?」
と確認するのも、意外と楽しいものです。
太陽の力でお湯を作る。
このちょっと原始的で、ちょっとロマンのある仕組みを、私は結構気に入っています。
経済性では、我が家の場合は厳しい結果でした。
だからこそ、
「太陽熱温水器なら、すぐ元が取れる!」
とは言えません。
でも、経済性だけでは測れない面白さがある設備だということは、実際に2年以上使ってみて感じています。
太陽光発電がこれだけ普及した今だからこそ、太陽の「光」だけではなく、太陽の「熱」を直接利用する太陽熱温水器にも、もう少し注目が集まってもいいのではないか。
実際に使ってみた一人として、私はそう思っています。
