太陽光を付けた我が家、蓄電池はどうする?|実データで経済性を試算して今回は見送った理由

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2026年、我が家にも太陽光発電を後付けしました。

太陽光を付けるなら、蓄電池も一緒に入れたほうがいいのでは?

そう考えて、蓄電池についても調べました。

でも、我が家の電力使用量や実際の発電データを当てはめてみると、少し違った結果になりました。

今回は、我が家で蓄電池を検討して、最終的に見送った理由を記録します。

我が家の太陽光発電と電力使用量

  • 太陽光発電:4.38kW
  • パネル:長州産業 N型TOPCon 18枚
  • 年間発電量:メーカー試算6,424kWh
  • 年間電力使用量:4,842kWh
  • 2人暮らし
  • ガス併用
  • EVなし
  • エコキュートなし
  • IHなし

年間電力使用量4,842kWhは、我が家で実際に使用した12か月分の電力量です。

6月13日の実際の電力データ

太陽光発電を設置した後、2026年6月13日の電力データを確認しました。

項目6月13日
太陽光発電26.7kWh
家庭の使用電力量7.8kWh
売電量21.6kWh
買電量約2.8kWh

この日の発電量26.7kWhから売電21.6kWhを引くと、太陽光から家庭内で直接使った電力量は約5.1kWhです。

5.1kWh+買電約2.8kWh=約7.9kWhとなり、表示された使用電力量7.8kWhともほぼ一致します。

つまり、この日は昼間の太陽光でかなりの電力をまかないながら、太陽光が発電していない時間帯には約2.8kWhを買電していました。

蓄電池は、この昼間の余剰電力を夜間などに回すための設備です。

出典:経済産業省「家庭用蓄電システムとは-1日の稼働パターン-」

6月13日だけを365倍にはしない

ただし、この1日のデータをそのまま年間に伸ばすことはしません。

6月13日は土曜日で、太陽光発電も26.7kWhあった日です。

時間帯別の実測データは、この時点では6月13日の1日分しかないため、年間の蓄電池利用量には幅を持たせて考えます。

また、電力使用量については、我が家の月別実測値を使っています。暖房や冷房による季節変動も、実測値の中にすでに含まれています。

太陽光発電については、前橋の月別の日射量を参考に季節変動を考慮しました。

出典:気象庁「前橋 平年値(月ごとの値)」

蓄電池で使える電力量を幅を持たせて試算

今回のシミュレーションでは、蓄電池から家庭に実際に供給できる年間電力量を、600~1,000kWhの範囲で試しました。

年間利用量位置づけ
600kWh少なめのケース
800kWh中間ケース
900kWh今回の中心ケース
1,000kWh多めのケース

ここでいう年間900kWhなどの数字は実測値ではなく、我が家の実測データをもとにしたシミュレーション上の想定値です。

年間900kWhを現在の買電単価31円/kWhで単純に換算すると、年間約2.8万円分の電気を蓄電池から使う計算になります。

ただし、実際の経済メリットはこの2.8万円より小さくなります。充放電によるロスがあるほか、蓄電せずに売電した場合に得られたはずの収入もあるためです。今回の回収年数の試算では、こうした点も考慮しています。

蓄電池は大きければ大きいほど得なのか?

我が家の場合、必ずしもそうではありません。

年間電力使用量は4,842kWhですが、太陽光発電のメーカー試算は6,424kWhあります。

それでも、夜間に家庭で使う電力量そのものには限りがあります。

蓄電池を10kWhにしたからといって、毎日10kWhを使い切れるわけではありません。

EVやエコキュート、IHなどの大きな電力需要がない我が家では、容量を大きくしても経済効果が比例して増えるとは限らないと考えました。

現在の価格水準で考える

我が家では蓄電池の見積もりを取っていません。

そこで、価格については経済産業省が公表している価格水準を参考にします。

経産省資料では、補助事業以外で家庭用蓄電システムを導入する場合、設備費15~20万円/kWh、工事費約2万円/kWh程度が標準的な水準とされています。

この記事では、これを17~22万円/kWh程度の価格目安として試算します。

出典:経済産業省「家庭用蓄電システムの価格水準」

容量価格目安
5kWh約85~110万円
7kWh約119~154万円
10kWh約170~220万円

あくまで公表されている価格水準を使った試算であり、現在販売されているすべての製品がこの価格になるという意味ではありません。

現在の価格なら、何年で元が取れる?

ここが今回、一番知りたかったところです。

以下の条件で、蓄電池の初期費用と、蓄電池によって削減できる買電額から売電機会の損失などを差し引いた累積メリットが同じになるまでの年数を計算しました。

  • 買電単価:31円/kWh
  • 買電単価:毎年1%上昇すると仮定
  • 蓄電池の往復効率:85%
  • 蓄電池の劣化:毎年2%
  • 売電単価:1~4年目は24円/kWh
  • 売電単価:5~10年目は8.3円/kWh
  • 11年目以降の売電単価:8.3円/kWhと仮定

充放電ロスによって、蓄電池に貯めた電気のすべてを家庭で使えるわけではありません。

また、蓄電池に回した電気は、その分だけ売電できる機会を失います。

そのため、単純に「年間使用量×電気料金」ではなく、充放電ロスと売電機会の損失を含めて、毎年の経済メリットを計算しています。

年間900kWhの場合、どう計算している?

例えば、年間900kWhを蓄電池から家庭で実際に使う電力量とします。

往復効率を85%とすると、900kWhを家庭で使うためには、

900kWh ÷ 0.85 ≒ 1,059kWh

の電力を蓄電池に充電する必要があります。

つまり、約1,059kWhを太陽光から蓄電池に回すことになります。

この約1,059kWhは、そのまま売電できなくなる電力量でもあります。

そこで、1年目の経済メリットは、

900kWh × 31円 − 1,059kWh × 24円

となります。

計算すると、

27,900円 − 約25,400円 ≒ 約2,500円/年

です。

つまり、単純に「900kWh × 31円=27,900円」とするのではなく、売電できなくなる分を差し引くと、1年目の実質的な経済メリットはかなり小さくなります。

さらに2年目以降は、

  • 買電単価の上昇
  • 蓄電池の容量劣化
  • 5年目以降の売電単価の低下

を反映して、毎年のメリットを計算します。

その累積額が蓄電池の初期費用に達したところを「回収」としています。

回収年数のシミュレーション

年間利用量単純な電気代換算
31円/kWh
5kWh
85~110万円
7kWh
119~154万円
10kWh
170~220万円
600kWh約1.9万円/年97~100年以上100年以上100年以上
800kWh約2.5万円/年66~93年100年以上100年以上
900kWh約2.8万円/年58~79年88~100年以上100年以上
1,000kWh約3.1万円/年51~69年76~100年以上100年以上

※「単純な電気代換算」は、年間利用量×31円/kWhで計算した参考値です。実際の経済メリットではありません。回収年数は、充放電ロス、売電機会の損失、買電単価の上昇、蓄電池の劣化を考慮した累積計算です。

自分の条件でも試算してみる

ここまでの表は、我が家の条件をもとにした試算です。

蓄電池の価格や年間利用量が変わると、回収年数も変わります。

そこで、初期費用や年間利用量を変えて、自分の条件でも試算できるようにしました。

🔋 蓄電池の回収年数シミュレーター

年間の蓄電池利用量や初期費用を入力すると、充放電ロス・売電機会の損失・蓄電池の劣化を考慮して、初期費用を回収するまでの年数を試算します。

※このシミュレーションは試算です。実際の電気料金・売電単価・蓄電池の性能・使用状況などによって結果は変わります。

🔋 シミュレーターの初期設定

このシミュレーターでは、我が家の検討条件をもとに、以下を初期値として設定しています。

  • 初期費用:85万円
  • 年間利用量:900kWh
  • 買電単価:32円/kWh
  • 買電単価の年間上昇率:1%
  • 往復効率:85%
  • 年間劣化率:2%
  • 1~4年目の売電単価:24円/kWh
  • 5年目以降の売電単価:8.3円/kWh

年間900kWhなど、実測していない数値はシミュレーション上の仮定です。

900kWhのケースで見ると

我が家の中心ケースである年間900kWhでは、5kWhの蓄電池の場合、

85万円なら約58年、110万円なら約79年

で初期費用に達する計算になりました。

例えば85万円の場合は、毎年の経済メリットを単純に一定額として割るのではなく、1年目は、

900kWh × 31円 −(900kWh ÷ 0.85)× 24円

という計算を行います。

その後も蓄電池の劣化や買電単価、売電単価の変化を反映し、毎年のメリットを積み上げていきます。

その累積額が85万円に達するのが約58年です。

つまり、

「900kWh使えば年間2.8万円得するので、85万円÷2.8万円=約30年」

という単純な計算ではありません。

実際には、売電できなくなる電気や充放電ロスがあるため、回収までの期間は大きく伸びます。

7kWhになると約88年以上、10kWhでは100年間のシミュレーションでも初期費用に届きませんでした。

もちろん、これは蓄電池をその年数使えるという意味ではありません。

設備寿命や交換費用を考えず、現在の条件をそのまま延長した場合の「単純な回収年数」です。

この結果から、我が家では経済性だけを理由に蓄電池を導入するのは難しいと考え、今回は見送ることにしました。

蓄電池は実際に何年くらい使える?

ここで気になるのが、そもそも蓄電池は何年くらい使えるのかということです。

家庭用蓄電システムは、製品によって保証期間や容量保証の条件が異なります。現在販売されている製品では、10年保証や15年保証を設定しているものがあります。

例えばニチコンでは、製品によって15年の無償保証を設定しており、製品によっては15年間にわたって充電可能容量を保証しています。

ただし、これは「15年使えば必ず壊れる」という意味でも、「15年を超えたら使えない」という意味でもありません。蓄電池は使用するうちに容量が徐々に低下し、その進み方は使用条件や設置環境、充放電の状況、製品によって変わります。

実際の長期使用データも少しずつ蓄積されています。

2024年に発表された研究では、ドイツの一般家庭で使用されている21台のリチウムイオン家庭用蓄電システムを、最大8年間にわたって実際の運転データから調査しています。研究では、使用可能容量が平均で年間2~3ポイント程度低下していました。

ただ、家庭用蓄電池について20年、30年といった長期間の実運用データが十分にそろっているわけではありません。現在は、実際の家庭で何年も使われたデータが少しずつ蓄積されている段階と考えたほうがよさそうです。

今回の回収年数シミュレーションでは、この寿命や交換費用をあえて考慮していません。

そのため、5kWhの蓄電池で「約58~79年」となったとしても、蓄電池を58~79年間使い続ければ元が取れる、という意味ではありません。

あくまで、現在の条件がそのまま続き、設備を交換しながら使い続けたと仮定した場合に、初期費用を経済効果だけで回収するまでどのくらいかかるのかを見るための数学上の試算です。

実際には、保証期間、蓄電容量の劣化、交換費用なども考える必要があります。

出典:ニチコン「家庭用蓄電システム 製品一覧」

出典:ニチコン「トライブリッド蓄電システム Q&A」

参考研究:Nature Energy「Multi-year field measurements of home storage systems and their use in capacity estimation」

では、2030年度の7万円/kWhまで下がったら?

経済産業省は、家庭用蓄電システムについて2030年度の目標価格を7万円/kWh・工事費込み・税抜としています。

これは2030年の実売価格を保証するものではなく、コスト低減に向けた政府の目標価格です。

出典:経済産業省「家庭用、業務・産業用蓄電システムの目標価格と導入見通し」

容量2030年度目標価格で単純換算年間600kWh年間800kWh年間900kWh年間1,000kWh
5kWh35万円35年26年24年22年
7kWh49万円49年36年32年29年
10kWh70万円75年53年47年42年

年間900kWhという中心ケースでは、2030年度の目標価格まで下がったとしても、5kWhで約24年、7kWhで約32年、10kWhで約47年という計算です。

これも蓄電池の寿命を考慮した年数ではありません。

売電価格が下がると、蓄電池の価値はどう変わる?

蓄電池の経済性を考えるとき、買電だけを見てはいけません。

昼間に余った太陽光を蓄電池に回すと、その電気は売電できなくなります。

つまり、蓄電池のメリットは「買電を減らした金額」から「本来なら売電できた金額」を差し引いて考える必要があります。

2026年度の住宅用太陽光10kW未満では、初期投資支援スキームにより24円/kWh(1~4年)、8.3円/kWh(5~10年)という買取価格になっています。

出典:経済産業省「再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2026年度以降の買取価格等」

我が家の場合、売電単価が高い最初の数年間は、蓄電池に回すことで失う売電収入も大きくなります。

一方、FIT期間後に売電単価が下がれば、蓄電池で自家消費するメリットは相対的に大きくなります。

それでも蓄電池に意味がないわけではない

今回の計算は、あくまで経済性を中心に見たものです。

蓄電池には停電時のバックアップという別の価値があります。

また、将来的にEVやV2Hを導入したり、エコキュートなど電力消費の大きい設備を使うようになったりすれば、我が家の電力使用パターンそのものが変わります。

その場合は、今回の計算結果も変わります。

我が家は今回は蓄電池を見送る

今回の試算で分かったのは、蓄電池は容量を大きくすれば、その分だけ経済効果が大きくなるわけではないということでした。

我が家では現在の暮らし方のままだと、蓄電池で置き換えられる電力量には限りがあります。

現在の価格水準では、単純計算でも回収までかなり長い年数が必要です。

2030年度の政府目標価格まで下がったとしても、我が家の条件では15年以内の回収は難しいという試算になりました。

そのため、今回は蓄電池を見送ることにしました。

ただし、蓄電池を今後も導入しないと決めたわけではありません。

太陽光発電を実際に使いながら、発電量・買電量・売電量を記録していきます。

電気料金が変わったとき、蓄電池の価格が下がったとき、あるいはEVやV2Hを導入したときには、もう一度計算してみるつもりです。

まとめ

  • 我が家の年間電力使用量は4,842kWh
  • 6月13日は発電26.7kWh、使用7.8kWh、売電21.6kWh、買電約2.8kWh
  • 年間の蓄電池利用量は600~1,000kWhの幅を持たせて試算
  • 中心ケースの900kWhでは、現在の価格水準で5kWhでも約58~79年
  • 2030年度の目標価格7万円/kWhなら、5kWhで約24年
  • いずれも設備寿命を無視した単純な回収シミュレーション
  • 経済性だけでは現在の我が家には合わないため、今回は見送った
  • 電力使用パターンや蓄電池価格が変われば、将来もう一度計算する

太陽光発電は、付けたら終わりではありません。

実際に発電して、使って、売って、数字を見てみる。

我が家では、その結果を記録しながら、蓄電池についても考えていきます。

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